エルトンジョンの映画のような歌の世界 eltonjohn’s blog

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エルトンジョンと男はつらいよ 寅さんとの共通性

エルトンジョンの映画『ロケットマン』が公開1か月で早くも公開最終週を迎えようとしている。

 

やはり、エルトンは日本で人気が無いことが如実に結果として表れた形だ。

 

これまでの日本での評価を考えると

大ヒットは難しいだろうなぁ、、、、。

 

これほど奥深い映画であるのに、、、、

 

エルトンのファンは

映画の公開を心待ちにし、

まるで彼のコンサートのように

胸躍らせ見に行ったと思われる。

 

しかし、大ヒットなど期待していなかったと思う。

本当のコアなファンであればあるほど、、、、

 

だから、ヒットしなかった事を残念に思わない。

ただ、エルトンジョンを知らない人たちに、

彼の素晴らしさや魅力を発見する機会が

短くなった事に残念に思う。

 

なので、少しでもエルトンジョンへの理解が深まるよう書き連ねたいと思います。

 

実はエルトンジョンこそ、

日本人が大好きなはずのアーティストであるという事を!

とは言え、私の勝手な見解なのでどうぞお許しを、、、、

 

 

エルトンジョンと寅次郎の共通性

エルトンと寅次郎の外見

エルトンの見た目

(私には実はものすごく格好良く見えているのだが、)

冷静に考えて

日本のその他の大勢の人が

エルトンを格好いい対象と見ているとは

ハッキリ言い難い!

むしろ、

見た目で受け入れて貰えていない。

 

イギリス人としては170センチ足らずの身長はチビと称され、

しかもコロンとしたズングリむっくり体型。

その上薄毛。

全盛期の20代半ばでバーコード頭は、

ミュージシャンにも俳優のような容姿を求める日本人にとっては致命的とも言えるだろう。

 

また、本人はなかなか不器用というか

言葉も毒舌。

プライベートも失敗がクローズアップされる。

 

それでも、

素晴らしい音楽と

語りかけるような歌声で

ファンタジーの世界観を伝える。

 

一方、

安定した職も収入もなく、

糸の切れたタコのようにフーテン。

奮闘、努力の甲斐もなく

今日も涙の陽が落ちる、

陽が〜 落ちる〜

 

まるで「Don't let the sun go down on me」のようにも聞こえる。

 

その

車寅次郎拝

 

彼もまた、

淀みない語り部

寅のアリアと言われる

聞いていて惚れ惚れとする夢物語を語る。

 

コレが絶世の美男子が歌ったり、

語ったりしないところがいいと思うのであります。

 

綺麗で容姿の美しい役者やミュージシャン、

タレントはその時代によって、

ガラリと変化する。

 

その当時に格好いいと思って作られたもの、

大ヒットしたモノ、

それをそのまま格好いいと思って見せても

やがて、誰も格好いいと思わない時代がやがてやって来る。

いや、むしろ滑稽になる。

例えば、裕次郎や渡り鳥シリーズ、若大将、

今ではまともに直視できないですよね。

 

あれだけ、格好良かったハズなのに、

半世紀したら、

目も当てられない。

 

私たちも

今格好いい!

と思って頑張ってみても、

あとで振り返ったら

もうどうしようもないくらい

恥ずかしい見栄になるのです。

 

反対に格好悪いのは普遍的

いつの時代も見栄や愛は空回り

格好悪いモノはいつの時代も格好悪い

 

いやっ、格好悪いというのではなく、

正直なのだ。

愚直という言葉があるように

愚かなほど真っすぐに生きる

 

そう!

格好良さを求めるより、

自分に正直に生きた方が良い!

 

愚直にも自分に向き合い正直に真っ直ぐに生きたのが

エルトンと寅なのだ!

 

劣等感のエルトンと劣等生の寅

 

愛すべきキャラクターは

死んでも愛される。

例えば「寅さん」はもちろん存命中も国民から愛されてた訳だが、

亡くなった今もなお、

より多くのメッセージを投げかけてくれている。

 

 

まだ、元気に活躍中のエルトンジョンに対して我々が今の観念から

理解し難いヤツ

同性愛

奇抜な衣装

とっぴな言動

それら多くの一見不完全な人間的な面を

ダメなヤツだと決めつけてしまうと言うのは

 

寅さんを見て

本気で馬鹿だと感じる事と同じではないだろうか?

 

寅さんは馬鹿に見えるけど、

同じような失敗は誰にでもあるし、

むしろか弱い人間の本質をさらけ出している。

 

そこに気がつくから寅さんを見てると涙が出る。

寅さんを見る度に感動するのは

その理解の度合いが年々増長し、

年を追うごとに深さを感じるからだと思う。

 

エルトンジョンを理解するには

つまり気付きかあるかどうか?

 

歴史上の愛される話を考えても、

華麗なる成功例よりも

むしろ惜しかった悲哀に焦点が当たる。

 

彼ら二人の愚直さが

多くの人々の心を捉えたのも

同じ共通性を感じる。

 

エルトンジョン と寅さんの誕生年

誕生年は1968年

 

面白い事に

エルトンジョンのデビューと

寅さんの初公開は

同じ1968年

高度経済成長で社会が急成長を遂げる中、

置いてけぼり、

落第

ついていけなかったのが

寅次郎だ。

テキヤ稼業で食いつないでる寅が

実家の団子屋に帰る事から物語は始まる。

 

エルトンはプレスリービートルズ

音楽業界を席巻し、

次なるスターを求められていた時に、

素朴でメッセージ性高い楽曲で

ピアノとオーケストラという

時代に逆行するかのようなスタイルで登場。

 

ともに社会の冷たさや

夢の儚さを感じながら

ギリギリのところで生きていく健気さがテーマの一つだ。

 

資産家や弁護士の息子たちが

闇の世界に向かっておはよう!と言う、

美しい空を見ようにもここでは無理な話

彼らは善悪の境など知る由もない

 

こんな社会でありながら

君のような人に会えた事にありがとう

君のような人に会えた事にありがとう

 

上記はエルトンジョンのアルバム「ホンキーシャトウ」に収録された

Mona Lisas and Mad Hatters」

 

社会の冷たさと切なさ、

そんな中で

本当の人の温かみに触れあって感謝を込めた歌。

 

この曲、

伝えようとしている事が

まるで「男はつらいよ 夕焼け小焼け」と同じなんですよね。

 

男はつらいよ 夕焼け小焼け」の内容をザックリ話すと

上手に生きている成金オヤジが

芸者の貯めた大事な貯金をだまし取る。

芸者は取り返そうと成金オヤジに詰め寄るが

この成金オヤジ、したたかで用意周到。

「裁判したってあんた負けるよ!」と踏み倒しを合法と言い切る。

 

寅次郎は何とか穴埋めしようと縁あった人間国宝の画伯に

相応の絵を芸者にくれてやってくれと懇願する。

画伯はそんな簡単なもんじゃないと一喝。

寅と喧嘩別れする。

時は流れて、

気になる芸者の元を訪ねると、

芸者の部屋に画伯からの牡丹の絵。

 

寅は言い過ぎたことを詫びながら

画伯を想い

遠い空から拝む。

 

あなたのような人に会えて感謝。ありがとう。

 

そんな幕切れである。

 

エルトンと寅

彼らは

同じ年に生まれて、

社会の閉塞感が生み出した

二人のスター

日本も世界も

このファンタジーを求めていたんだと思うのです。

 

バーニートーピンと山田洋二

バーニーが台本を書いて

エルトンジョンが演じる

 

山田洋二が作詞して、

車寅次郎が歌う

 

ちょっと入れ替えてみましたが、

どうです?

共通してると思いませんか?

 

山田洋二監督は若き日の渥美清を見て、

そして、話して

彼の美しい語りを聞いて、

「車寅次郎」というキャラクターを思いついた。

 

 バーニーもレジナルドと一晩中語り明かし

エルトンの愛の深さや

内省的な気難しさから

多くの詩を提供。

 

そして、奇しくも

エルトンと寅は

素朴に書かれた台本からくるメッセージを

驚くべき圧倒的パフォーマンスで演じるのです。

 

エルトンジョンと車寅次郎

そして、バーニート-ピンと山田洋二

つくづく似ているなぁと感じる次第でございます。

 

エルトンも寅と同じ行商人精神の持ち主

エルトンジョンの代表曲

「YOUR SONG」

この曲で彼は世界へと飛び出す訳だ

 

その詩の内容に

もしお金も地位もない自分が

何かをするとしたら

「行商しながら秘薬を作る人かな、、、」

というフレーズがある。

 

これって、「ガマの油」(やけど切り傷塗ればたちまち治るという秘薬)を

売ってた寅さんと一緒やん?

 

実際、エルトンはデビュー以来、

小休止はあったものの、

ずっと世界をライブ活動して回っている。

 

彼の最大のコンセプトアルバム

「Captain Fantastic and the Brown Dart Cowboy」の

同題名曲でも

キャプテンファンタスティック(エルトン)とブラウンダートカウボーイ(バーニー)が

世界の果てから君の街にやってくるよ♪

と歌っている。

 

ここにも寅さんの言葉

「会いたくなったら風に向かって呼んでみな、

フラッとやってくるから、、、、」

みたいだ。

 

 

エルトンが凄いのは72歳の今でも元気にツアー活動をしているという事。

 

そして、最後に今回伝えたい一番大事なことは

まだエルトンジョンが生きているうちに、

エルトンジョンを理解して

実際にみてもらいたいのであります。

それも中学生とか高校生に!

多感で、

世の中のカオスに飲み込まれそうな時に、

不器用で

劣等感ある君に

繊細な君に

君らしく生きて欲しいと応援してくれるのが

エルトンジョン!

 

彼は長い間、

ロケットマンのように無重力空間に漂っていたが、

とうとう結婚して、子供を持った。

 

家族との時間を大事にするために、

あと2年ほどでフーテン生活を終えようとしている。 

 

寅さんがようやくリリーと結婚して

奄美大島で落ち着くような感じだろう。

 

エルトンは日本で人気がない事を知っているけれど、

僕たちコアなファンの為に

必ず最終ツアーで日本に来てくれるはずだ。

 

だから絶対ラスト・エルトンを見に行きましょう!

 

文・八十川景一